霜月になりまして

月曜担当のオスカーです。後期も始まり、あっという間に1ヶ月。あわただしい毎日を送っています。

さて、先週の水曜日、高尾天狗裁判に行ってきました。今回は行政裁判といって、公権力の行使の適法性を争うものです。具体的には、国土交通省が主導となって圏央道を建設しているけれど、それって本当に法律に適っているの?住民の権利を侵害しているのではないの?という原告の主張を国土交通省弁護団にぶつけ、そのやりとりを第3者の裁判所がチェックするというものです。

いわゆるお役所答弁というのを初めて生で見ましたが、確かにじれったい…。でも、それも仕事のうちなのでしょう。国には、国の言い分があるわけだし。裁判の焦点は、費用便益分析の値の算出が正当なプロセスを経て行われたかどうか、という部分にあると、オスカーも自分なりに判断しました。

費用便益分析とは、公的な投資計画における費用と効果・便益を総合的に比較することを意味します。便益(ベネフィット)をB、費用(コスト)をCとして、B/Cの値が1を上回れば、その計画は妥当性がある、と判断するのが一般的なようです。問題は、今回のB/Cの算出作業を、国土交通省は外部の業者に委託しており、その過程および計算に用いた生データを一切出さないことです。いわゆる情報開示というのが、近年話題になっているけれど、まさにその情報が得られるか得られないかで、議論の行方はすっかり変わってくるのでしょう。後は、裁判所がそのデータの提出を国土交通省に要求するかどうかというところが重要なのかな。

この手の裁判は初めてですが、やはり裁判は住民側が不利なんですね。とにかく、情報量に関しては、「専門人」たる官僚組織には、一般市民は絶対に勝てないから。マックス・ウェーバーが「官僚制」概念で描いた近代の絵の通りになっていました。

でも、今回の裁判、自然保護の問題を考える上で、すごく勉強になっています。上の記述には少々誤りがあるかもしれないけれど、現実の問題をリアルタイムで学ぶというのは、得るものが大きいですね。皆さんも、チャンスがあれば、是非裁判傍聴に行ってみてください。どんな案件にいくかも、ゼロから自分の頭で考えて、さぁ、行動だ♪