Brilliant lily


私の働いているお店では、背の高い大きなガラスの花瓶あり、そこには毎週キレイな花が活けられます。

菊、バラ、ストレリチア、ラベンダー、おびただしく芳しい色とりどりの、野花をあざ笑うような花花。

先週は、百合でした。
それも格調高い、それはそれは美しい高貴な種類の百合。鹿子百合。

水を換えたり、手入れをしないので、多くの花は枯れてしまい、その生涯を終えます。


この百合を除いて。

百合は、まだまだ沢山の蕾を残し、生き残りました。
汚い腐りかけた水につかり、タバコ煙のあらゆる妨害を受け、息をするのもはばかれるような地下のお店で、それでも、
生き残りました。


それがとても美しいことだったので、最後の夜、私はそのすべてを、家に持ち帰りました。




私は、やっぱり何度か死にたくなったことがあります。

愛を、届けたかった。

ただ愛されたいのではなく、私は愛を届けたい、そして、ただそのすべてを受け止めて欲しい、そうゆう人が欲して。


でも、私の人生は、あまりにも私に似合っていなくて、それが何度も絶望を引き起こしていました。


絶望は死を招きます。


そして、幾度も訪れる絶望の中で、その蓄積された重みが、いつかきちんと完全に私を押しつぶすのも、心のどこかで望んでいました。



次の日、私が帰ってくるとすべての蕾は、花を咲かせていました。


嘲るように、輝かしく、辺りにむせ返るような匂いの優しさを充満させて。


それらは今日も、踊るように咲いていました、誇り高く、天へ向かい。脈々と。





切り花は、元気です。

だけどちゃんと迫る死の事を知っています。


明後日、には、力つきてしまうかもしれない。
だって、咲いた花の寿命はあまりにも短い。


そして今、それらは精一杯の力で咲いているから、私はとても悲しくなります。




愛する人に、もう想いを伝えた?

あなたの愛する人は、
ここで必死に最期を生きていること、
ちゃんと知っている?




鹿子百合の花言葉は、荘厳。そして、慈悲深さ。


一緒に進もう。

この脚が悲鳴を上げるくらいに、腕が感覚を忘れるくらい、心臓がこれ以上脈打てなくなるまで。

絶望が私を押しつぶすのを待つのなら、精一杯咲き誇って、それで、ちゃんと力つきよう。



ありがとうね。

ごめんなさい。

知らなくていい。

愛してるよ。

いっぱい愛してる。